相続のキホン Vol.3
~相続・相続税・法定相続人とは~
今回は エイワ税理士法人 株式会社英和コンサルティング
佐藤 英介先生にお答えいただきました
人生の先が分からないように、相続もいつ発生するかは分かりません。今回はそんな相続時に発生する問題について、相談できる先(専門家)を発生後と発生前に分けてご紹介いたします。
相続が発生したとき
相続のときに、相続人の間で、遺産分割や遺言書の解釈などについてトラブルが発生してしまいました。どこに相談すれば良いですか?
弁護士に相談しましょう。
相続人間のトラブルは弁護士に相談するのが適切です。トラブルの解決について具体的な助言を受けられますし、遺産の分け方を話し合う遺産分割協議や調停を通じて相続人間のトラブルを円満に解決するサポートもしてくれます。
相続財産の金額が分からず、相続税が発生するのか不安です。また、税務署から相続のお尋ねが届きましたがどうすれば良いか分かりません。
理士に相談しましょう。
相続に関する税金については税理士に相談するのが適切です。相続財産の算定や評価を行い、納税すべき税金を算出してくれます。税務署への申告も代理で行ってくれます。また、相続税には様々な控除がありますが、これらの控除は相続税の申告を行わないと適用を受けることができないものもありますので、税理士に相談するときに、相続税の控除を受けられるかどうかの確認もお願いしてみましょう。
相続人で行方不明や未成年者がいます。また、相続財産に借金が多く相続放棄も検討しているのですが、どこに相談すれば良いですか?
弁護士か司法書士に相談しましょう。
これらの問題には法的な対応が必要となりますので、弁護士や司法書士に、解決に向けてのサポートを受けましょう。
相続で土地や建物を相続しましたが、何かしなければならないことはありますか?
司法書士に相談しましょう。
相続で受け取った土地や建物の相続登記(不動産の名義変更)を行う際は司法書士に依頼するのが適切です。土地や建物などの不動産の相続登記手続きの依頼、適切対応についての助言を受けることができます。特に2024年4月1日から相続によって不動産を取得した場合には3年以内に相続登記を行わないと10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の対象となりますので注意してください。
相続が発生する前
自分の相続や両親の相続が心配なので遺言書を作成しておきたいです。
弁護士・司法書士・税理士・行政書士に相談しましょう。
遺言書の作成や相続手続きの書類作成に関してのアドバイスを受けられたり、手続きの代理をお願いすることができます。遺言書作成後の対応についても、アドバイスや他の専門家を紹介してもらえます。
遺言書の効力を強くしたいです。また、遺言書を紛失しないようにしたいです。
公証人(公証役場)に相談しましょう。
公証役場では、遺言書を公正証書(極めて強力な証拠能力を有する公文書)として作成することができますし、公正証書遺言の「原本」は公証役場にて(遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間)保管されます。また、どのように財産を分配するかを決める遺産分割協議書などを公正証書とすることも可能です。
自分の財産がどれくらいで、税金がどの程度掛かるのか知りたいです。
税理士に相談しましょう。
お持ちの財産の相続税上での評価の算定、株式をお持ちの場合には株価の算定をお願いすることができます。また、大きく相続税が掛かりそうな場合には事前に対応する方法を相談できます。
今回は、それぞれの専門ごとに相続についての相談事項を簡単にまとめさせていただきました。
相続は亡くなられた方の人生の縮図でもありますので、そこで発生する問題は多岐にわたり、ここに記載できたのはごく一部です。
上記内容を参考に専門家に相談してみてください。その後相談の内容を確認させていただき、必要であればほかにも様々な専門家をご紹介させていただくことになると思いますので、疑問が出たときにはお早めにご相談いただければ幸いです。